『優しいだけでは転べない』のお話
昨日から、ISF07で頒布したひなたのお話『優しいだけでは転べない』を期間限定でTwitterにて公開しています。(※5/13で公開終了しました。沢山の方に読んで頂きありがとうございました!)
前回記事同様、話を作るにあたっての振り返りとか掘り下げた話とか色々書き記していこうと思います。
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■話を作ろうと思ったきっかけ
一度「アイドルとしての木下ひなた」のお話を書いておきたいとなったのが最初のきっかけです。ひなたの魅力って本当にたくさんあると思っていて、よく見かけるかわいいも間違いなくそうなんですけど、かわいいアイドルはいっぱいいるしそこでもう一歩ひなたに寄り添って欲しい…かわいいだけではない……という気持ちから、敢えてひなたの短所を拾ってお話を考えました。
コミュを追っていると、あたしもみんなみたいに~とか足を引っ張らないように~とか自分を卑下しがちな描写がちょいちょいちょいあるんですが、それはひなたがネガティブというより他人のいい所をみつけるのが上手で、素直に褒めてあげられるからそれに引き換え自分は…となってしまうんだと思っています。他人を妬む気持ちが芽生えた時も、真っ先に自分を責めてしまいそうだな…と。
サンリズムオーケストラのイベコミュ4話はものすごく影響を受けています。自分の中のひなたはこういう子かなという人物像もより固まりました。(サンリズムコミュは田村奈央さんの演技も相まって凄くいいコミュなので是非ボイスありで聞いてみてください。)
■表紙とタイトル
ひなたの短所⇒「優しすぎるところ」が話の主軸だったので、そのニュアンスを伝えられるタイトルにしました。直接的な表現があまり好きではないので、本当は優しいという言葉を使わずなんとかしたかったんですが、結果的にいい感じに馴染んだかなと思います。
転べないの部分は諺の「七転び八起き」から引っ張ってきていて、自分の優しさを受け入れて(躓いて)先に進める…みたいな意味合いをこめました。
表紙はカラーにするか単色でいくかギリギリまで迷いましたが、クラフト紙にスミ1色で素朴な雰囲気の仕上がりにしました。
■本編①(作画)
前回の作画縛りルールが「トーンを一切使用しない」だったので今回は「トーンを頑張って使う」にしました。楽になったような気はします。多分……。
志保の髪はトーンベースで描きましたが再録で本に纏めることがあれば黒ベースで全部描き直したい…
キャラの気持ちを四角枠で表現するやつも使ってみたりもしました。これ結構便利なんですけど個人的にあまり多様したくなくて、文字が多すぎると漫画で伝える必要性が薄れてきてしまう気がしてしまうんですよね。でも上手い漫画も普通にめちゃくちゃあるのでバランスが…難しい…別の機会にまた挑戦してみたいです。
自分が絵とか間とか雰囲気で伝える系統が好みなのもあっていかに少ないページと台詞で伝えられるかを意識してるところはあったりします。
あとはとにかくネガティブになり過ぎないように気をつけました。Pとの会話とか翼のオーディション受かった話聞いてる時のひなたの表情とか描いててだいぶしんどかったです。なんで担当にこんな表情させてるんだろうと苦しみながら描いた記憶があります。
■本編②(後半の志保のパート)
最初、後半でひなたに手を差し伸べる子は志保ではなく別の子で描き進めていました。
誰かと言うとまつりです。
まつりにした理由としては、ひなたが慕っている子の一人であること、ひなたのメインコミュにも登場していたこと、年上としてひなたを引っ張ってくれそうなところ…等。
ネームもまつりで作っていたのですが、後半に突入する手前で本当にまつりでいいのか…ともやもやしてきてしまい、一旦筆を止めてしまいました。
まつりがどうこうというより、自分のまつりに対する解釈が足りてないと感じたのと、上記と同じ理由に当てはまる朋花は?となったりもして、納得のいく形で完成できないなと感じたためです。
(ネーム見返したらウミウシのマスコットとか出てきてました。)
次に考えたのが翼でした。ただ翼は前半でも出てきていて、これだとつばひな寄りになってしまうと感じたのと、何よりサンリズムコミュで公式がやってくれてるので、これも没にしました。
その後翼と同い年で誰か…と考えピンときたのが志保でした。まつりで考えていた話の流れを基にしつつ、志保用にもう一回ネームを描き直しました。後半の作画が乱れてるのは主にこれが原因です…。ここもばっさり描き直したい…。
この台詞は今でもとてもお気に入りです。
同じお姉ちゃんポジションだったり、同い年でもこの二人は独特の距離感があるように思います。ミリシタ内でも二人の絡みもっと見たいですね。(オファーのテキストの距離感すごく良いのでこんな感じのもっと欲しいです。)
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作画や細かい台詞回しとか、荒い部分が目立って直したいところはたくさんあるんですが、話としては自分の描きたいことを描ききれた作品になったと思います。またありがたいことに予想以上に反響があり、これがきっかけで私の他の作品を知ってくださった方が増えたようにも感じています。
アイドルとしてのひなたのお話はあとふたつほど描きたいなと思っているものがあるので、また形にできたらなと思います。